2021年4月5日にXRPが急高騰した。CoinCheckのチャートでは、前日比で約30%上昇した。
XRPの価格は、SECからの提訴された、2020年12月23日から急落し、4か月の時を経て2018年4月ぶりに100円の大台を突破した。
今回は、このタイミングで価格が高騰した理由に関する推察とSEC訴訟の概要を見ていく。
SEC(米証券取引委員会)提訴の概要
1.証券該当性
SECは、2013年から約7年間に渡って、有価証券登録を行っていない仮想通貨XRPを販売し、1,300億円を超える資金調達をしたと主張している。このリップル社が販売した仮想通貨XRPの証券性が論点になっている。
仮にXRPが証券であると判断された場合、リップル社は届け出の済んでいない証券を不当に販売したことになる。
SECは、ビットコインとイーサリアムについては2020年12月時点では証券には該当せず、暗号資産として正式に認定している。一方で、XRPも同様に暗号資産に該当するかという点に関して、SECは以下の理由で暗号資産に該当せず、証券に該当するという見解を示している。
XRPはビットコインやイーサリアムは発行体が十分に分散されているのに対し、XRPはリップル社が独占的に発行していることを、証券性の根拠としている。
これに対し、リップル社の反論としては、XRPはすでに金融犯罪ネットワーク(FinCEN)をはじめ、複数の規制当局に通貨として認定されていることから、そもそもSECの管轄の範囲外であると主張している。
一方、SEC側は、米財務省のFinCEN(金融犯罪捜査網)がXRPを「バーチャルカレンシー」とみなしたとしているが、ある一つの規制当局の判断は別の関連する規制機関の判断に関して関係性はないと反論している。
さらに、SEC側は、XRPの有価証券性を問ううえで、ビットコインやイーサリアムは「関係ないデジタルアセットである」と主張している。
これに対し、リップル社はこれに対する反論としてビットコインとイーサリアムの重要性を主張。過去にはSEC側は仮想通貨市場で主要銘柄のビットコインやイーサリアムに関しては「有価証券ではない」と言及していたことから、XRPの有価証券性を議論するうえで重要であると主張している。
このように、証券該当性についてが争点の1つとなっている。
2.情報開示について
CoinPostの記事によると、SECが特に問題視したのは、リップル社によるXRPの販売方法である。SECは、リップル社が投資家に、重要な情報開示を行っていないと指摘している。
この重要な情報開示の内容とは、2018年9月に日本の機関投資家に2018年11月1日~2021年11月1日の間、最大約800億円分のXRPを、市場流通価格の15%~30%安く購入できる契約を結んでいた。
この報道を受け、日本の交換業者はこのプログラムには参加していない旨の声明を発表している。
各取引所の対応事例
海外の主要な取引所の対応
バイナンス米国
2021年1月13日より、Binance.USからXRPを上場廃止。上場廃止に伴い、取引及び入金を一時的に停止。
Coinbase
2021年1月19日に全面的に取引を停止。
クラーケン
2021年1月30日より、米国でXRPの取引を一時停止。
Bitstamp
2021年1月8日より、米国居住者に対して、XRPの取引及び入金サービスを停止。
国内の主要取引所の対応
2021年4月8日時点で、XRPは14取引所で取り扱われている。
SECの訴訟ニュースが出た際に取引を停止していた取引所が複数あったが、2021年4月8日時点では、ほとんどの取引所で従来通り取引が可能となっている。
楽天ウォレットデア、2020年12月24の22時以降、安定的な価格配信が可能と判断できるまでの間、取り扱いを停止することを決定。
BITMAXは1回あたりの取引上限を10百万円から1百万円に引き下げ。
日本の金融庁の見解
米仮想通貨メディアTheBlockが日本の金融庁から、仮想通貨XRPが有価証券に該当しないとのコメントを得たと各記事で報じている。
また、SBIホールディングス代表取締役の北尾氏は、自身のTwitterで下記のようなコメントをしている。
日本の金融庁はXRPが証券ではないと既に明言しています。米国においても、Ripple社が最終的に米国で勝利を勝ち取ると強く信じています。SBIホールディングスは引き続きRippleの確固たるパートナーとして、共にアジアで事業拡大に取り組みます。
XRP価格高騰の理由の推察
米時間2021年4月6日に行われた、XRPの有価証券問題をめぐる証拠開示手続きの裁判審議にて、リップル社に有利な展開が見られたと、CoinPostの記事で報じられている。
この審議内容の概要は、ビットコインやイーサリアムは有価証券には該当しないとしていながら、XRPが有価証券に該当すると判断した根拠を問う内容であった。
この審議を経て、裁判官は下記の2点のリップル社の申し出を許可した。
- SECによるBTC、ETH、XRPの内部及び外部情報に対する証拠開示手続き
- SECによる19のカストディアンに対する証拠開示手続き
この、リップル社に有利な展開が見られたというニュースが市場にプラスに働いたことが、価格上昇の要因の1つであると考えられる。
まとめ
SECのリップル社の訴訟については、リップル社に有利な展開が見られたと報じられたが、訴訟はまだ続く。一方、XRPの価格は回復傾向にある。
訴訟の顛末も気になるところではあるが、XRPの価格がどのように推移するのかも気になるところではある。
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